木造は地震に弱い?

造って、鉄筋コンクリート(RC)造よりも地震に弱いのですか?

家の耐震性能は構造計算に基づいて設計するので、素材の強弱=耐震レベルの強弱ではありません。

木造についてはなんとなくのイメージから、「地震に弱い」「火災に弱い」などの不安が付きまといます。

今では住宅だけでなく、公共施設や商業施設などでも木造を採用するケースは増えています。

どのような構造の種類を選んだとしても、構造計算がきっちり行われている設計であれば心配ないでしょう。

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耐震とは?

建物の耐震性は、木やコンクリートなど「何の材料で構造設計をしたのか?」というだけでは、強弱が判断できません。

「大丈夫です」という建築業者の言葉や構造の種類で判断せず、構造計算をきちんと行っているか確認しましょう。

え⁉︎ きちんと構造計算を行なわない建築業者さんもいるのですか?

木造2階建ての家は、確認申請の際に耐震に関わる「壁量規定」の審査を省略できるのです。

2020年までほとんどの木造2階建ての家では、通称「4号特例」と呼ばれる措置がありました。確認申請や中間検査で建築基準法に適合した建物かどうかを審査する際に、建築士が設計していることで、壁量審査が免除される項目が存在したのです。

審査が免除されるために、壁の枚数などから簡易的な構造計算しかしていないケースが目立ちました。

きちんとした構造計算を行うとコストは数十万円以上かかりますが、地震や災害への不安を取り除くためには必須の項目です。

構造計算の概要を知りたい方はとても分かりやすく説明してくれている、こちらの動画をご覧ください。

中古住宅の購入を検討されている方も、各都道府県の建築士会では既存住宅の状況調査(インスペクション)を依頼できる窓口があるので、必要な出費として見込んでおくと良いでしょう。

地震に強い家

震に対して新築のプランをする時に、何か気をつけておいた方が良いことはありますか?

建築業者さんが適切に導いてくれるはずですが、地震の影響を受けやすいプランについては知っておきたいですね。

注文住宅は自分たちの思い通りにプランすることができるのがメリットで、他の構造に比べて木造には金物や工法など色々な手段で耐震性を高められます。

しかし、そもそものプランをする時に「避けた方が良いこと」を知っていれば、地震のリスクだけでなく余分なコストも減らせます。

建物の平面はなるべく長方形にする

L字型やコの字型よりも長方形に近い形の方が、地震に強いです。

視線が遮られる中庭が欲しいなどの要望でコの字型にする場合は、耐震について詳細に説明できる建築業者を選びましょう。

一辺が4m以上の吹き抜けは避ける

吹き抜けに憧れを持つ方は居ると思いますが、大きな吹き抜けは地震の影響を受けて、建物を歪みやすくします。

吹き抜けは広い壁面が生まれることで、地震以外でも家の動きの影響が出やすく、塗り壁で仕上げる際などはひび割れも入りやすいです。

木造の構造設計について分かりやすく説明をしてくれる設計者と、家づくりを進めるのが良いでしょう。

1階と2階の壁面を一致させる

床の耐力が大きいツーバイフォー工法を除いて、木造は2階の壁面の真下に1階壁面がなければ、床を介して2階の地震力が1階の壁に流れることになります。
床面に大きな負荷がかかり、大地震時には床から壊れる恐れがあります。

1階と2階は間取りの違いが出ても、壁面は同じ位置にする方が地震の影響を受けにくいです。
2階にある壁を1階のプランでは取り払ったりしないようにしましょう。

1階の壁の配置は東西南北にバランス良く

1階の外壁は、東西南北のすべての面に壁(幅91cm以上)がバランス良くあることで、家が地震の揺れにも耐えやすくなります。

例えば、木造で南側の1階の外壁がない=一面のほとんど全てが窓などの開口部、というような要望を出す時は耐震対策とコストも追加で織り込んでいく必要があります。

以上の様なことは基本的に建築業者が主導していくことですが、オーナーが強く要望すれば建築業者も応えようとし、リスクやコストアップにも繋がることを知っておきましょう。

「耐震等級3」をすすめる理由

日本では2009年まで半世紀に渡って、新築住宅が年間100万戸以上が建てられていたことが、かつての4号特例の背景にもあるといわれます。

確認申請を受け付ける自治体の窓口だけでは詳細な審査まで行き届かず、資格のある建築士が設計していることに信頼性を持たせたのです。

下図は、耐震等級の説明になります。

出典:「耐震等級3のススメ」(一社)くまもと型住宅生産者連合会

2016年4月に発生した熊本地震(震度7×2回)は、住宅設計に携わる人にとって、前述の4号特例を考えさせられる機会となりました。

木造建築の中でも古いものが倒壊しただけでなく、築10年未満でも「耐震等級2」に相当するものの被害もありました。

「耐震等級3」に当たる建物には、大きな被害が見られないというのが結論でした。

建築基準法に定められている「耐震等級1」は必須の最低レベルで、「耐震等級3」はオーナー自らが選択しなければいけない基準になります。

カタログやホームページで耐震等級3を表示している場合でも、家は1軒1軒の間取りが違うことを認識し、住宅性能表示制度一般社団法人住宅性能評価・表示協会)などの活用も視野に入れましょう。

「耐震」「免震」「制振」の違い

家の耐震政策は、大きく分けて3つあります。

耐震柱や壁などの、家の構造要素の強度を高めて地震に耐える
免震建物と地盤の間に免震装置を付け、地震の揺れを伝えない
制振建物の要所要所に制振装置を付け、地震の揺れを吸収する

「免震」は建物の重さに比例して作用するため高い建物での採用が多く、あまり戸建住宅では普及していません。

新築時には「耐震」設計をきっちり行い、「制振」により耐震性能を守ることで、地震に強い耐久性のある家へと結び付きます。

制振装置についてはダイナコンティの様な小型・軽量で、新築に限らずリフォーム時の設置に対応しているものあります。

建築基準法は、耐震に限らず最低限の基準を示すものが多く、何を優先して建てるかということを明確にしておく必要があります。

注文住宅は事前に知っていると得なことが多いのに、家族構成や住宅ローンの関係などの状況にも左右され、準備不足のまま臨みがちです。

せっかく建てる家には「安全(安心)」と「健康」は欠かせません。

時間にゆとりを持って、安全面についても欠かせない情報を集めておくことで、耐久性のある家づくりが可能になります。

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