
家づくりを一緒にする設計事務所を決めてから、浴室のことはかなり早い段階で希望を言っていました。
お風呂は長い時で、1時間くらい入ります。
浴室ではiPadで動画を観たり、Kindleで読書をしたりすることもあります。
定期的な運動を行なっていないので、半身浴で汗をかくのも目的です。
以前の便利なマンション暮らしで、唯一の不満が浴室でした。
浴室が家の真ん中にあって部屋に囲まれており、換気は設備にしか頼ることができませんでした。
最初の数年を過ぎれば抗菌とシールの貼ってあるユニットバスも、掃除してもカビが生えやすくなりました。
だから浴室は在来工法で、部屋の延長みたいな感覚でお願いしました。
「在来工法?」
さて、お風呂のことを少し勉強してみましょう。
浴室の種類
お風呂の種類は大きく分けて3種類あります。
ユニットバス | 戸建てやマンションで一般的に使われている、浴槽や壁・床を現場で組み立てるタイプ。お手入れが簡単で機能性などが選べることが売り。 |
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ハーフユニット | 浴槽より下はユニットバスで機能性を持たせて、壁などは木や自分の好きなタイルでで貼ったりできる。 |
在来工法 | デザインや素材は自分で選ぶ、昔ながらの戸建てに多いタイプ。ユニットバスなどに比べて、お手入れはこまめにする必要があると言われる。 |
ユニットバスでも高機能でデザイン性の高いものは高価ですが、一般的に表の下に行くほど工期が長く費用もかかります。
デザインも重要ですがエネルギー効率が気になる人は、浴槽の種類や形によってお湯の消費量や保温力が変わることも頭に入れて選ぶことも重要です。
浴槽の素材の種類
FRP(エフアールピー) | ガラス繊維強化プラスチック。最も一般的でユニットバスなどの標準。 |
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人工大理石 | FRPに比べて肌触りが柔らかく、掃除がしやすい。 |
ステンレス | 耐久性・保温性が高いが、見た目のシャープさと肌触りは好みによる。 |
ホーロー | 鋼板と鋳物の2タイプあり。保温性があり肌触りがなめらか。重い。 |
木 | 耐久性・保温性があり見た目や肌触りもやさしい。マメな手入れが必要。 |
仕事で木で仕上げた浴室を見ることもたまにあり、ここでは自然素材の家によく合う木とホーローの浴槽について取り上げます。
木の浴槽は手入れが大変?






実際に木の浴槽を目にすることはとてもお風呂にこだわりがある人か、温泉などの施設で見ることがほとんどになるかと思います。
木が好きな人にとっては見た目や肌触りも良く、木の素材ならではの耐久性や保温力の高さはとても魅力的だと思います。
お手入れが心配な方には、防水加工や汚れ・カビ対策を塗装で施しているものあります。
木の浴槽は高野槙(コウヤマキ)やヒノキなど、中に多くの油分を含む木が使われることが多いです。
以前に木の浴槽を販売している人に聞いたのは、「入浴後はすぐお湯を抜いてよく乾かし、カビの原因になるものを遠ざける」ということでした。
カビは腐朽菌という微生物類を餌にしており、それは水アカや石けんカスなどから発生するものになります。
なので、毎日の使用後にその根本を洗浄と拭き上げでなるべく断つ様にし、湿気がこもらない様に換気をしっかり行うことが重要になってきます。
直射日光を木材に直接当てるのは良くありませんが、北側の浴室などは湿度がこもりやすくなるので、木の浴槽を使いたい人は慎重に検討された方が良いでしょう。
ホーローの浴槽
わが家の浴室は在来工法にし、ホーローの浴槽を選びました。
建築士さんの自宅で実際に20年使われていて肌触りと耐久性、手入れの気軽さなどがメリットだという後押しもありました。
もう日常的になって忘れつつありましたが、肌触りがよく最初の頃は家族でとても満足したのを覚えています。
前のマンションのユニットバスでは冬場に入って浴槽にもたれると、背中に冷たさを感じることがありましたが、今はいつ入っても平気です。
もうFRPの浴槽に戻れない、と認識する人が多いものも納得です。
鋳物ホーローを選んだのですが肌触りがなめらかで表面の輝きがあり、素材感がとてもあります。
浴槽に関してはせっかくの機会なのでショールームに行き、深さと大きさの変わる浴槽にいくつか入って営業さんの熱心な説明を聞きました。
浴槽自体が温まっているので体を芯から温めて急な湯冷めがないとの説明を受けましたが、それも実際に感じることができています。
またわが家で使用した鋳物ホーローの浴槽は、とてもリサイクル率が高い製品(89%)でした。
耐久性も一般的な使用で25年以上はみているとのことで、保温性のことと併せて即採用となりました。
重量が重いので設置する場所を選ぶとも言いますが、住宅の1階であれば特に気にすることもないでしょう。
掃除は言われていた通り、とても楽です。
浴槽に関しては定期的に洗剤を使うこともありますが、最後に出る人がしっかりスポンジで洗っておけば大丈夫で、とても清潔で衛生的に感じられる素材です。
浴室の壁に木を貼る
ホーロー愛と共に外せなかったのが、浴室に木を貼るということです。
たまに浴室に長居することがある私の中には、木を貼りたいという希望がずっとあり、ヒバの木を貼ることになりました。
お風呂に木を貼ることで注意することとして、どの位置に貼るかということがあります。
お風呂の仕上げは床から135cmの高さまでは壁にタイルを貼り、その上90cmの壁と天井はヒバ材を貼りました。
ヒバはヒノキと同じで木材中に含まれる油分がとても多い木材なので、浴室やサウナなどに貼られることがあります。
デザイン的に木のお風呂感をもっと出したい方は、もっと低い位置でタイルと木材を切り替えても良いかもしれません。
しかしその場合は、木の浴槽と同様に毎日のメンテナンスをこまめにする必要があります。
私たちはシャワーを浴びる時は椅子に座る派ですが、立ちっぱなしでシャワーを浴びる方は常にシャワーの水が壁にかかります。
立ってシャワーを浴びる方には、135cmの高さでの素材の切り替えでは低く、毎日お風呂の壁をさっと拭くということがわずらわしければ、壁などに木を貼らない方が良いかもしれません。
ちなみに木の上の塗装ですが、家の木部の塗装の中でここだけ自然塗料を使いませんでした。
実際に暮らしてみないと、どれくらい壁に水がかりがあるのかよく分からなかったのと、ここは有機溶剤系の撥水塗料で機能を優先するかと割り切ったからです。
たまたま塗装をしている時に現場に居合わせ、シンナー臭がすごくて一気に気分が悪くなり心配になりましたが。
住んでしばらくは壁への水がかりが気になっていましたが、シャワーを座ってすることでほとんど水はかかりません。
新築時の刺激的な匂いのこともあり、今では自然塗料で塗装すれば良かったのではないかと思い、メンテナンスの時には自然塗料に切り替えるつもりです。
照明についてはマリンランプを使い、シャワーや水栓などの器具は色々とショールームにも行きましたが、シンプルであればそれでいいという結論になりました。
ちなみにお風呂から木製サッシを通して見える小さな庭にはモミジやナンテン、アジサイなど季節によって簡単なライトアップをしささやかな観る楽しみがあります。
浴室に関するメーカーが寿命の目安として、浴槽や設備を15〜20年での入れ替えを勧めています。
浴槽自体が悪くなる前に、浴槽を設定した時の継ぎ目であるコーキングの劣化などもありますし、いずれの物を選択しても寿命やお手入れに大差はない様な気がします。
ユニットバスの組み合わせでだけではなく、好きな素材で浴室づくりをすることも家づくりの満足感をとても高めてくれます。
お風呂好きな方には、浴室に木を貼ったりホーローの浴槽を使うことで、ホテルライクな入り心地を楽しむことができます。