住まいの第一印象になるので、見た目のテイストを重視しがちなのが外壁です。
最近では、街並みに合う黒色やおしゃれな濃い色の外壁も人気です。
しかし、色によって室内の温度や光熱費、メンテナンス周期にも影響があるので、慎重に検討したいところです。
この記事では、外壁の色選びの際に知っておきたいポイントをまとめてみました。
外壁の役割とは?
外壁は、天候の影響から家を保護してくれる役目を果たすものです。
外壁は常に太陽の放射熱にさらされ、素材・仕上げ方法・方角・入射角度によって冬と夏の外壁の温度は大きく変わり、室内の温度にも影響します。
1日の中で最も日射が強い時間帯は、外壁の表面温度が外気温を上回ります。
外壁の表面温度が上がると断熱材で多少の軽減があっても熱が内壁に伝わり、内壁の表面温度が上がることで室内の温度上昇につながります。
外壁は、断熱・遮音・防火性能が十分なことはもちろん、耐久性や経済性(定期的なメンテナンス費用など)も考えて素材や色を選ぶことで、より家の中で過ごしやすくなります。
色を選ぶ際のポイント
色見本で確認する
外壁の色を決める際は、必ずメーカーの出す大判(A4サイズ以上)の色見本を取り寄せて、室内ではなく太陽光で確認しましょう。
納期が2週間以上かかるものも多いので、余裕を持って依頼するようにしましょう。
また、サイトやソフトでの外壁シミュレーションでの確認は見るディスプレイによって異った発色をするので、おすすめしません。
色の反射率も参考に
同じ外壁材でも白っぽい明るい色に比べて、黒などの暗い色の方が太陽の放射熱を吸収しやすく、外壁の表面温度が高くなります。
屋根や外壁に使われる大手メーカーの遮熱塗料の色見本には、白色の反射率が90%以上なのに対し黒色が50%弱しかないと表示されており、他の仕上げ材でもその対比はほとんど変わりません。
白が混じったパステル調の色が総じて反射率は高く、濃い色になればなるほど反射率は低くなります。
また、外壁の表面温度は室内の温度にも影響してくるので、そのまま夏の冷房コストにも直結します。
そして、外壁の表面温度が高くなりやすいということは、室内の温度に影響があるだけでなく、外壁材の表面が傷みやすいので、メンテナンス周期についても早まる可能性は高いです。
一般的な2階建ての定期的な外壁メンテナンスは、素材にもよりますが10〜15年に1度、100万円以上のコストが掛かることも頭に入れて色を選びたいです。
施工事例をたくさん見る
実際に外壁の色や素材の雰囲気をつかむために住宅地を歩いてみたり、メーカーや工務店のHPで施工事例のページを見に行きましょう。
Pinterestなら「外壁」と検索するとたくさんの画像が出てきて、色や素材・メーカー別に絞ることもできるのでおすすめです。
また、住宅雑誌も室内との繋がりが分かり、イメージを膨らますのに役立つでしょう。
住宅雑誌や画像サイトの施工事例を見て参考にする時には、ドアやサッシの色も一緒にチェックしておくと統一感を持ってイメージすることができます。
外壁を長持ちさせるポイント
傷みの種類を確認する
サイディングを使っている人は、数年後から徐々に出始めるジョイント部分のコーキングのひび割れや塗装の劣化に注意しましょう。
サイディングは、しっかり密閉してコーティングされていなければ、雨漏りやさらなるひび割れの拡大を生じます。
建ててもらった工務店さんやプロにすぐ見てもらい、補修するようにしましょう。
塗り壁や塗装を使っている場合は、表面上の傷なのか下地にまで亀裂が入っているのかを確認する必要があります。
ヘアークラックと呼ばれる表面上の薄いひび割れだけなら、すぐに大事に至ることはありません。しかし、割れが深かったり1箇所に複数集中している場合は、建ててもらった工務店さんやプロにすぐ見てもらいましょう。
外壁塗装比較の専門スタッフが優良業者をご紹介定期的にメンテナンスする
前述の通り、メンテナンスは一般的な2階建で100万円以上のコストが掛かり、せっかく足場を建てるので屋根のメンテナンスと一緒に行うことも少なくありません。
家を建てるきっかけとして多い「子どもが生まれたから」の通りにいくと、外壁の平均的なメンテナンス周期の10〜15年というのは、家計の教育費負担が最も多い時期と重なります。
メンテナンス時期を逃してしまうと、雨漏りや剥がれの心配が付いて回り、地震や大雨の際のダメージだけでなく、家自体の劣化を早めます。
いつもどこかで気にしたまま暮らすようにならないためにも、外壁のメンテナンス費用をはじめ家の修繕費用を、普段から少しずつでも貯めておくことをおすすめします。
新築なら軒を深く出す
モダンなイメージの強い四角い家(軒のない外観)は、直射日光だけでなく雨や風を直接壁に当ててしまうので劣化が早く、どのような素材を使っても外壁のメンテナンス周期は短くなりがちです。
特に南面の軒を深く出せない場合は、窓の上に庇を付けることも検討した方が良いでしょう。
新築なら軒を出す以外にも、素材から見直してみることもおすすめです。
木や漆喰は、合成樹脂系の素材とメンテナンス頻度は大きく変わるわけではありませんが、経年して風化していくことで素材感を増します。
木は熱伝導率が低く熱を伝えにくく、部分的に張り替えたり自分で塗装してメンテナンスすることもできる、とても長持ちで便利な建材です。
外壁は、初期コストがリーズナブルなものは劣化スピードが早く、初期コストの高い(施工期間のかかる)ものはメンテナンス次第でさらに耐久性を伸ばすことができます。
叶えたい希望がいっぱいある家づくりですが、外壁の色や素材が室内の快適性に影響するということも忘れないで選んで下さいね。