木や漆喰を使った家では、自然素材の空間ならではの光の広がりや反射が感じられます。ホーロー製、スポットライト、ダウンライトから北欧のデザイナーズの照明まで、コストバランスも考えてひと通り使ってみました。
日中は照明いらず
西面以外は住宅に囲まれているわが家は、自然な光を取り入れやすい2階の西側をリビングやダイニングにしました。日没の時間になるまで、曇りや雨の日以外に照明を点けることはありません。
LDKの壁は、真っ白なスイス漆喰の壁に陽射しが乱反射し「この家はいつも電気を点けていないのに、とても明るいね」と子どもの友達が言います。
そして、陽が落ちて照明を点けると、とてもあたたかな光が部屋に広がります。
元々は屋外に使われることが多いマリンランプが好きで、室内にもいっぱい使おうと思っていました。しかし、一次プランで既に予算も膨らみすぎていたため、照明器具は後からでも変えられるし、と思いとどまりました。
「LED(電球色)のクリア電球をそのまま磁器製の電球ソケットに付けるのも、シンプルでいいよ」と建築士さんに勧められ、直接電球を見ない様な高さにあるものは、その通り変更しました。
こんな感じです。⇩
裸電球を付けてその上に、拾ってきた枝とかで自由に照明カバーを作っている家を見たこともあります。いずれ照明カバー作りに挑戦してみても面白いかなぁ、と思っています。
素材によって変わる明るさ
20年以上前にドイツに行った時、戦後まもなくに建てられ住み続けられてきた建物で3週間位滞在することがあり、その建物の明るさ具合を気に入っていました。個別の寝室は明り採りの窓以外はデスクランプもなく、どの部屋も少し暗いくらいで。みんなが集まって食事をするテーブルの上や料理する手元をスポットに照らすだけなど、夜に必要な所にしか照明がありませんでした。
きっと、日本でも電気が普及するまで、いつでも明るく照らされている空間というのはとても珍しかったはずです。リフォームをする際に、自分の好みの明るさをなんとなくイメージすることも大事です。照明プランを深く考えずに依頼すると、ダウンライトといっても数があることで、角度を変えられず意外と眩しく感じたりするものです。
特に、夜は照明によって、とても部屋の雰囲気が変わります。
漆喰の様な白色で光の反射率が高い素材を使っていたら、照明の数も付けすぎないように気を付けたいところです。窓のレイアウトだけではなく内装の仕上げ方でも、明るさの種類が変わります。
実際にプランニングする時は、部屋の用途によって「照度」という基準があります。私は夜はひっそりとし明るさを希望し、設計事務所と話し合って「これ以上は減らせません」と言われた最小限のものに抑えました。
今の照明プランでもし暗かったら、必要に応じてフロアランプなどを増やそうかと話していましたが、実際に暮らしてみると予想以上に明るかったです。夜になるとポツンポツンとある照明が漆喰の壁に反射することで光が広がり、クロスの空間では得られない間接照明のやさしい光が感じられます。
わが家には洋室ですが居室と広縁を障子で仕切った部屋があり、暑い日や寒い日は障子で仕切ってエアコンを効かせています。その部屋では障子が広縁にある大きな窓から入った明るい自然光が、障子の和紙を通して程よい明るさで部屋に届けてくれます。
部屋別の照明
寝室の照明
家を建てる時はまだ子どもが小さくて21時には消灯状態で、その生活が当たり前になり今でも早めに寝室に引っ込みます。
主寝室を設計する際に建築士さんから、ベットで読書するならアームライトがあった方がいいと勧められ、付けてもらいました。周りの睡眠を遮るほどの明るさの広がりはなく、手元だけに灯りがくるのはとてもいい感じです。
枕元の壁面にはパイン材を貼り、そこの真ん中にアームライトを付けています。主寝室には他にも、小ぶりなホーローのペンダントライトも。照度が低く間接照明の様な光で、ほのかに小さな空間を照らすのがとてもきれいです。
調光できるので少し暗くし、入眠しやすい明るさにすることが多いです。
寝室の2つの照明とキッチンのペンダントライトは、自然素材とは相性の良い照明が多い、芦屋のflameというお店のものです。全国からオンライン相談もできますし、関西近郊の方は天井高の分かるものや平面図などを持って行くと相談に乗ってくれます(予約制)。
木とタイルの浴室の照明
浴室の照明といえば、同じ様なカバーのついたものが多く、そこにこだわりを持つことはあまりないのかもしれません。しかし、わが家は浴室にこだわりがあったので、浴槽はホーローで上部の壁と天井はヒバの木とタイルを張って仕上げました。
汎用的な浴室照明では浮いてしまい、防湿して密閉するタイプであれば良いということで、マリンランプにしました。
マリンランプはもともと船のデッキや通路に用いられていた堅牢性のある照明で、住宅では外構に使われることの多い照明です。ガラスカバーを通して真鍮(しんちゅう)の枠の影も広がる灯りが、木の光を和らげる効果と相まって、なんともいえない雰囲気です。お風呂以外にも今のクリア電球+磁器ソケットのものから、マリンランプに変えたい箇所がいくつかあります。
ちなみにお風呂から見える小さな庭に変化のある春と秋は、外の照明も点けてのんびり入浴しています。
キッチンの照明
新築を計画し始めた時に照明の本を読んだり、好きな北欧ブランドの照明の施工例をネットや雑誌で見たりして夢を膨らませていました。
しかし、次第に予算を認識して現実的になり、居室よりはLDKの照明をどうするのかばかり考えていました。
マンション暮らしの時はキッチンライトが蛍光灯で明るすぎる様な感じがあり、料理が終わったらさっさと消していました。食事をする時は食卓の上の明るすぎない照明だけに切り替えて、リビングはテレビなどを見ることがなければ付けることもありませんでした。
今のキッチンは友達が来た時などに料理をしながらでも話せる様に、料理スペースの対面が気持ちばかりのカウンター式になっています。
その上にペンダントが2つでその灯りだけだと暗いので、更にスポットライトを点けて左右から手元を照らせるようになっています。「今はいいけれど、歳をとったら手元が見えづらくなるかもしれないから」という建築士さんのアドバイスで、スポットライトは可動式になっています。
やっぱり使いたい北欧ブランド
そしてダイニングには、あれこれ悩んだ末にLouis Poulsen ルイスポールセンPH5のグリーンにしました。
無垢のケヤキのテーブルや、これまた悩んだイスとの兼ね合いはイメージしていたよりもずっと良かったです。
そしてダイニングには他の場所にはなかった、テーブルの上の何センチに照明をもってくるかというテーマもあります。
料理が好きだったり食事の時間を長く楽しむ人は特に「これくらいの高さがいい」というのがあるので、ネットにその照明の種類と高さを書いていたりします。
PH5を選んだことで直接電球の光が目に入らず、暗がりが好きな私の場合は結構低めで良いと思っていたので60cmを候補に挙げました。しかし、建築士さんの経験から70センチが良いのではという提案があり、実際に吊ってみて最終的にテーブルの上から70cmとなりました。他の照明だったら、また高さは変わったかもしれません。
家を建てる時に決めることがありすぎて、最終の部分になってくる照明や家具にたどり着くまでに力尽きてしまいそうになりますが。ここも選ぶのにテンションが上がるところですから、体力を残して悩みに悩んで下さいね!