知っておきたい!塗り壁材の種類とメリット

塗り壁を使いたいけれどコストも心配だし、ヒビが入ったりするんですよね?

そうですね。ビニールクロスと比べたら高いし、メンテナンスがしやすいものを選ぶようにしたいです。

まず、ビニールクロスと塗り壁材は、見た目も体感も、調湿性や耐久性などの機能面が全然違うので同じ土俵で比較することはできません。選択する壁の素材によって、インテリアの雰囲気が大きく変わることはイメージしやすいかと思いますが、耐久性や体感にも大きな差が出ます。

塗り壁は自然素材の質感だけでなく手触りやあたたかみ、においや光の反射など五感に訴えるものも、ビニールクロスとは全く違ってきます。

メンテナンスができ呼吸性のある素材を選んで、耐久性や室内での快適性(湿度や体感温度に)与える影響も踏まえて選びたいところです。表面が多孔質な塗り壁材は自然の調湿性を持ち、室内の湿度がコントロールしやすいので、カビやホコリを気にすることも少なく、きれいな空気の中で一年中快適に過ごすことができます。

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塗り壁材の種類

塗り壁材っていっぱい種類があって、何がどう違うんですか?

合成樹脂を多く含むものには呼吸性がなく、経年で劣化してしまうとメンテナンスに困ることも。素材感・機能性・安全性などの面も確認したいところです。

「塗り壁」といっても合成樹脂を多く含むものは、表面に石油製品を感じさせるツヤがあり、ビニールクロスの機能性と何ら変わりのないものとなります。

せっかく塗り壁を選ぶのであれば、自分が欲しいものと結果が違わぬよう、成分についてはしっかり確認しておきましょう。

自然素材の塗り壁ほとんど糊(合成樹脂)や化学物質を含まないもの
自然素材風の
塗り壁
成分や広告は自然素材をうたっているが、合成樹脂系の糊を含まないと壁に密着しない=調湿効果は低い・メンテナンスが難しい
見た目だけ塗り壁ほぼ合成樹脂で構成されているので、調湿効果はほとんどなく劣化しやすい

自然素材の塗り壁とは、伝統的なものであれば「漆喰」や「土壁」と呼ばれるものです。合成樹脂が多く含まれていても「〇〇漆喰」と商品に名前が付いているケースもあるので、ホームページなどでもよく確認しましょう。

また、成分以外にも気を付けたいのが、仕上がりイメージです。色彩や表面の模様がどんな仕上がりになってほしいのか、イメージして商品を選ぶようにしましょう。

平でツルッとした仕上がりにするのか、コテでパターンを付ける感じで仕上げるのか、商品によって仕上げ方法の向き不向きがあります。例えば骨材(こつざい)と呼ばれる大きめの砂などが入った塗り壁は、平坦な壁の仕上げには向いていません。逆に、骨材をほとんど含まない材料だと塗装のような平坦な仕上がりになりますが、何度も塗らないと壁の素材感を感じるような厚みは出ません。

また、塗り壁でなくともシンプルな仕上がりで合成樹脂の感じが出ないものなら、自然塗料の水性塗料や環境配慮型の塗装という選択もオススメです。塗り壁材のような調湿効果は期待できませんが、塗装の良いところは部分補修が可能で、アースカラーや濃色もあり質感としてもあなた好みかもしれません。

塗り壁材のコストについて

1部屋だけ塗るなら、コスト的に安く済みますか?

ビングなどある程度の広さがあれば良いと思いますが、小さい面積を塗るためだけに職人さんを拘束すると、かえって平米当りのコストは上がってしまいます。

質の良い塗り壁材は、塗り壁を仕上げるまでの下地処理が2〜3工程以上あり、狭いから1日で工事が終わる、というわけではありません。

そして塗り壁材の場合は、材料コスト以外にも左官屋さんの熟練度(年齢ではない)やどんな仕上げにするのかで使用量は変わり、価格も違います。

壁は床同様に面積的にも大きい面ですから、大きめの塗りサンプルで床材と合わせて検討してみるのが良いでしょう。

コストは悩みどころではありますが、無垢フローリングのオイル仕上げを選んでいる方がビニールクロスを採用し、素材感の違いに悔やんでいることを目にした機会は少なくありません。

塗り壁を検討しているインテリア好きな方は、目先のコストだけで妥協しない方がいいかもしれません。せっかく集めたお気に入りの家具や雑貨が映えるかどうか、壁材の種類でも雰囲気をかなり左右します。それならいずれ入れ替えがくるような他の設備のランクを下げて、コストを抑えたりする方が結果的にトータルでの満足に繋がることもあります。

塗り壁材が見直されている

壁の仕上げ材として、昔はよく使われた塗り壁。

塗り壁は、バブル期の家づくりの変化で最も打撃を受けた仕上げ材料かもしれません。左官屋さんの中には「失われた20年」という表現をする人もいました。効率化を求められた時代に存在感を増したビニールクロスに対して「高い」「工期がかかる」などを理由に、良さが継続して伝わらなかったことも痛手となっています。

歴史的に長く当たり前に使われてきたこともあり、木材や和紙(障子)などと同様に素材が果たしている役目(美観・機能性)を、わざわざPRする機会がなかったからかもしれません。様々な職人技術に共通している、時代に合わなくなった徒弟制度が未だに主流で、後継者不足を産んだことが影響している面もあるでしょう。

木や土、漆喰など、家づくりに長く使われてきた材料には使われている理由があります。高温多湿な夏から乾燥しやすく寒い冬のある日本で、なるべく表面温度の変わりにくく呼吸する材料を使うことは、現在においてもとても有効な手段なのです。

近年、地球温暖化によるエネルギー問題について、光熱費の上昇や熱中症など実際に身近に感じられる機会は増えています。よりエネルギーを使わないよう、断熱性能や気密性能を高める家づくりが知られるようになってきました。空気や温度を逃しにくい高性能の家だからこそ、調湿性があり空気を汚さない素材の選択が重要です。

塗り壁は自分で塗れる?

塗り壁材を自分たちで塗ることはできますか?

ネットに塗り方についての情報がある商品を選びましょう!

私が実際に塗った塗り壁材の種類は、元々材料がペースト状になっているスイス漆喰や、水を混ぜるだけで良いタイプの自然素材の塗り壁に限られます。

合成樹脂を多く含むものは乾燥時間が早くプロ向けのもので、後々の修正などが難しいものもあります。自分で塗るなら、ホームページで画像で手順の説明を行ったり、YouTube動画があったりする商品が良いでしょう。

自然素材以外でもホームセンターやネットで購入した塗り壁材を塗る人は、下記の様なことを気を付ければ自分で塗ることは可能でしょう。

DIYの注意点

・最低限の道具を揃えるのに数万の費用が掛かる
・1人が1日で塗れる面積は限られていて、仕上がりが変わるので作業を壁の途中などで止められない
・小学生も高学年くらいにならないと戦力はならない(幼児は預けて作業した方が良い)
・下地処理や養生にも時間が掛かり、1日で仕上がる材料はほとんどない

新築であれば建築業者さんにお願いして、思い出に家族で1面だけ塗ったりすることも有りだと思います。自分が塗った壁には愛着がわきますし、商品のことやメンテナンスの方法も何となく分かります。ただ、人によって仕上がりパターンは変わります。まずは少量で、小さな面から試してみるのがオススメです。

スイス漆喰のお手入れ

さて、実際に塗り壁の家といっても色んな種類があると思うのですが、私はスイス漆喰を選択しました。

階段の蹴込(けこみ)と言われる部分にもスイス漆喰を塗っていて、その部分は時々当たってしまい白い粉が落ちていたりします。その他にも物をぶつけてしまったりして、壁の出っ張った角である出隅(でずみ)部分は欠けやすいです。壁と壁の合流地点である入隅(いりずみ)は力が伝わりやすく、割れやすいところですが、5年経過しても今のところ割れが出ていません。

何か突起物をぶつけてしまって欠けたところなどには、補修用の小分け商品もあるので、自分でちょちょいっと塗り足して補修しています。黒ずんだりしたところはプラスチックの消しゴムや、紙やすりでこすって表面の汚れを取ってしまいます。

わが家にも開口部近くのひび割れが、数カ所あります。これは木製サッシを取り付けるのに、開口部に合わせて材料のロスが出にくいよう、下地の石膏ボードを配置しているからです。

開口部に沿って力が伝わりやすくひびが入りやすいので、大工さんには木製サッシの直線上に石膏ボードを添わすようには貼らないで欲しかったです。ヒビは表面にうっすらなのでよく見ないとあまり気にはなりませんが、また家の動きもおさまったら自分で補修しようと思っています。

(亀裂の様な明らかに深い割れは下地の割れが心配ですので、業者さんに相談しましょう。)

実際に塗り壁の家に住んでみたら

LDKと主寝室に使ったパターンは全面塗りっぱなしのような感じで仕上げ、主張しすぎずおとなしすぎすというところです。

壁から2、3mの近さならその模様も見えますが、5mも離れればその陰影を感じるだけで模様は見えづらくなります。

主成分である石灰の色そのもののスイス漆喰はとても白く、反射率もとても高い素材です。窓が大きめで白い壁ということもあり、太陽がある程度出ていれば照明を使うことはほとんどありません。

また、内装は無垢材と漆喰のおかげで、入居した当時も新築特有のにおいはありませんでした。観葉植物がとても元気で、静電気が発生しにくいので、においがそこまで出ない料理をしたりしている時は自然換気です。

木製サッシなどとの相互作用もありますが結露もなく、材料自体がアルカリ性が高くカビの心配はしていません。体感なので伝えにくいところもありますが、全体的に空気のきれいさを感じられます。

紙壁紙+自然塗料を使った部屋もありますが、質感・調湿性・メンテナンス性など、トータルでのパフォーマンスはスイス漆喰の方が高いと思います。

この居心地の良さを実感し、自然素材の塗り壁材に関しては「いずれ取り替える設備のランクを落としてでも、最後まで守り通してもらいたい仕様」だと、心からおすすめできます。

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