無垢の木のダイニングテーブルができるまで

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無垢の一枚板を使った理由

一つ一つの表情が違う無垢の一枚板は、手ざわりが柔らかくあたたかみをはっきりと感じられます。樹種や仕上げ、カウンターに使ったりどういう脚を付けたりするのかで、既製品でなくともモダンなアレンジは可能です。

20年以上前に材木屋さんと仕事をするようになってから、市場やお店などで無垢の一枚板を見る度に欲しいと思っていた、念願の無垢板のテーブルです。

無垢のテーブルは、一度作ったら何十年ではきかないくらい、ずっと使い続けられるものになります。

無垢の天板以外にもかかる費用

天板を選ぶ前に、図面で又は設計事務所や工務店さんにレイアウトする場所(わが家はダイニング)の広さを確認しましょう。天板になる板の、大体の幅と長さの検討をつけて出発です。

天板になる無垢の一枚板を多くの種類から選びたいということもあり、旅行も兼ねて、定期的に行われている石川県の材木屋さんのやっている「銘木市」に行きました。大阪からわざわざ石川県の銘木市まで来なくても、大阪・東京に限らずきれいに成型された無垢板を買える、家具屋さんや銘木を置いている店はあります。

わざわざ行ったのは、在庫量が豊富で選びがいがある。これに尽きます。一般向けにも開放されている市場や木材フェアみたいなものは地方にもあるので、時間のある方はそちらで掘り出し物を探すのも楽しいですよ。

表面処理が行われていない天板を購入する際は、下記のことも忘れないで設計事務所さんや工務店さんに相談して下さいね。

天板以外に必要な費用

・表面をきれいに削ったり塗装したりして天板にする加工代
・脚の材料代
・組み立て費用
・運賃

目安として、数万程度で収まるものではなく、凝ったことをしなければ数十万を超えることもないでしょう。
無垢の天板は、サイズだけでなく、樹種によっては大変重いものになります。将来的に移動や模様替えを考えている方は、サイズ、樹種、脚の種類を頭に入れて選択しましょう。

銘木市では、木が好きな人から見ればお宝級で大きなのもの〜住宅にもふさわしいサイズまであり、樹種の取り扱いも幅広いものでした。そこで160枚くらいあった中から、わが家が選んだのは「欅(ケヤキ)」でした。

この選択にたどり着くまで、私は輸入材の広葉樹(オークやウォルナット、チェリー材など)で、木目や全体の色、形のきれいさを重視していました。しかし、夫は無垢の木らしい、国産材で自然な凸凹や所々に穴が空いているものを候補に挙げていました。

ケヤキは木目がはっきりしていて色も赤っぽく、和の家具や木工に使われることが多い木材です。
【実際に購入した加工前のケヤキの写真】⇩


「あとは家具屋さんがどう加工してくれるかだな」とけっこう賭けな一面もありましたが、無垢の木らしい選択も良いのではと思うように。

そんなこんなで材木屋さんと「樹齢は100年を越してそうだね?」「まだ削ってみないと分からないけれど、いい表情してそうだね」とか話しながら、とっても満足のいく買い物ができました。

家具職人さんに加工を依頼する

無垢板を購入した後は、予定よりも大きなものを買ってしまったのと、家具工房にいつ届くかを設計事務所に連絡を入れました。

家具屋さんやインテリアショップで購入した場合、加工に関しては購入したところで行ってもらうことがほとんどだと思います。私の場合は新築のためのダイニングテーブルで、他にもキッチンや家具を作る予定があり、その家具を作る職人さんのところでまとめて作ることにしました。

無垢の家具に関して、デザインの他は元になっている材質や加工の仕方によって、値段がまちまちです。私の場合は市で買ったので「実際に天板を加工してみたら(削ってみたら)どうか?」というところまで想像が必要でした。

市場ではなく店頭で展示販売されているものは、ほとんどきれいに削られたものですので、ご心配なく。

長く天然乾燥された物だということだったので心配は少なかったのですが、ケヤキは乾燥が不十分だと材にねじれが出て、大きいものの加工は難しいのが特徴です。

表面をきれいに削った後に自然オイルで仕上げることで、木目もはっきり出てきて素地の色も深まります。わが家のように穴が空いたり「耳」と呼ばれる樹皮に近い側面を、どのように生かすのか(無くすことも多い)も職人さん次第です。

また、無垢の天板のテーブルで一番難しいのは、脚の選択。
金属製も選べますし樹種はそれなりに扱っているところもあるのですが、ロの字型、コの字型、Hを横にした型、丸太みたいなもの…。選ぶ脚の素材と形によって和か洋なのか思いっきり振り幅が出るので、選択は慎重に行いましょう。

仕上げ塗料の選択について

無垢材をどういった塗料で仕上げるのかで、見た目や手触りからお手入れ方法まで変わってきます。

無垢材を使うなら表面に分厚い膜を張らない、木の手触りや見た目の良さを引き出すオイル仕上げ。しかも「自然塗料一択!」と言いたいところですが、自然塗料仕上げに向いている人とそうでない人がいます。

見た目は木が良くて、すぐ傷やシミがつくのがイヤな人はウレタン塗装などの合成樹脂系の塗料で木を覆うという選択になります。特にダイニングテーブルは、食事をするのでコップをそのまま置いたり、食べこぼしなどが放置されているとシミになることもあります。

合成樹脂系の塗料は木を閉じ込めてしまうので木の質感が少し失われますが、撥水性など合成樹脂系の塗料の方が機能性を求めることができます。ただ、塗装が剥げたり傷ついたりした際に、DIYでメンテナンスするのは難易度が高く、業者に依頼することがほとんどです。

では、どんな人が無垢板の自然塗料(オイル)仕上げのダイニングテーブルに向いているのでしょうか?

自然塗料(オイル)仕上げ

・木の呼吸性や、温かみ、手触りの良さを残したい
・木だから、少しは傷やシミがつくよね、って思える
・インテリアの中に合成樹脂のツヤ感が要らない
・メンテナンスが自分でできた方が良い

メンテナンスといってもわが家のオイル塗装のケヤキは、ダイニングテーブルとして毎日使いますが、5年目までは固く絞った布で拭く以外、何もしていませんでした。もちろん樹種にもよりますが、シミや浸透した汚れの目立ってきた5年目にようやく手入れをしたところです。

また、ケヤキはまだ時々表面からアクが出て、強く擦ると布巾が汚れることがあります(衣服を汚すほどのものではありません)。表面は、硬いこともあって傷は全然ありません。傷も何も、もともと穴が空いている板を選んでいるので、多少の傷がついてもあまり気にしないような気もしますが。

また自然塗料(オイル)仕上げの無垢材の特性として、タンニンが多く含まれる材(オーク、クリ、スギなど)は、金属が直接触れると黒ずんだりするので、缶や鉄製の食器などを直接置かないようにしましょう。水滴のついたグラスや熱い飲み物が入ったカップなどを直接置かず、輪ジミにならないようコースターやランチョンマットを敷くなどしましょう。

無垢の木のダイニングテーブルのある暮らし

タテが80〜110㎝(木の形をそのまま生かしているので大きさが異なる)で、長さ193㎝のケヤキの無垢板を使ったのが、わが家のダイニングテーブルです。

わが家は、晩の食事時間が長い方です。ほどほどにお酒を嗜むということもありますが、週末はだいたい家族や友人と何時間もダイニングで話していたりします。食事以外でもカードゲームをしたり、子どもの宿題も仕事もダイニングテーブルですることが多いです。

単に、ダイニングテーブルだと広さに余裕があり、作業をするのに便利なこともあります。あと、デスクだとつい紙類を平積みしたり、本立てを置いてしまったりしまうのですが、出しっぱなしにならないのも気に入っています。

なので、あまり意識したことはありませんでしたが、無垢のダイニングテーブルが私にとって最も手で直接触る家具となりました。柔らかい手触りやぬくもりのことをずっと言い続けるのは、やはりその肌に感じる感触の良さです。これがニスやウレタン塗装だと、年中ひんやりしていて木のあたたかみを感じにくかったでしょう。

そして、忘れてはならないのが、食事がおいしそうに見えることです。
あくまで「見える」なのですが、なんて説明したら良いのか。お皿はあるんだけど、自然の木の大きな器に料理を盛っているとでもいいましょうか。

また、ちょっと小物の写真を撮ろうと思った時に、とても良い台になります。料理もそうですが、食器や植物、自然の雑貨などはとてもきれいに映えます。

どれを一番最初に選んだのかは忘れましたが、この無垢のダイニングテーブルがある空間にはやはり、お気に入りのイスと照明があります。デザインされた家具とはまた違った魅力を持つ、無垢のダイニングテーブルが一家に一台あるだけで、とてもあたたかいダイニングの雰囲気を作り上げてくれます。

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